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最後の晩餐の謎と先生の死

これは実話ではありますが、半世紀近く前の事なので、記憶があやふやな点が多くあります。

なので、確実な記憶のみを記する事に徹しようと思います。

それは、私が中学生の時、美術の時間の事でした。

「イエスの隣に座っているのは女性ですよね?」・・・私の友人が質問したのです。

「そうとしか見えないよね。男性ではないと思います」・・・私が追随。 レオナルド・ダビンチの最後の晩餐の話です。

「いや、これは男性で使徒、ヨハネだったんじゃないかな?」

その時、先生はそう答えたのです。

「いや、これは絶対に女性です」・・・友人

「僕の目にも女性としか映りません。聖母マリアじゃないんですか?」・・・私

二人で食い下がってみた。

「聖母マリア?いや!それは無い。しかしマリアはもう一人いる。まあ、これがマリアなのかヨハネなのか、はたまた別の使徒なのかは判らないが、夏休みにこの絵を見に行く予定にしているんだ。答えは判らないかもしれないが、現地で調べてみるよ」・・・先生が、そう言い、チャイムが鳴り、一学期最後の美術の時間は終了した。

長い夏休みが終わり、最初の美術の時間。

「今日から美術を担当してくれる〇〇先生だ・・・」

校長が新任の美人女性教師を紹介した。

「え?✖✖先生は?」・・・ダビンチ談義を楽しみにしていた私は不満げに尋ねた。

友人も首を傾げている。

その時は校長は何も説明せず、教室から出て行き、美術の授業が始まったのだが、それ以降、様々な噂を耳にする事となった。

「アメリカの大学で教鞭をとる事になったみたいだ・・・」

「まさか?無理無理。俺が聞いた所では、奥さんと子供を捨てて、若い女とアメリカに逃げたんだって・・・」

等々、様々な噂が耳に飛び込んできた。

只、共通しているのはミラノではなくアメリカだった。

噂に更に尾ひれが付き、滅茶苦茶な話が次々とでっち上げられていく始末。

収拾がつかない程となり、たまらなくなったのだろう。

朝礼の際、校長が「噂に惑わされないようにしてください。✖✖先生はアメリカで交通事故で亡くなりました・・・」

校長が真相を述べた為、学校内は収まったのだが、私と友人の二人だけがすっきりとしなかった。

「アメリカで亡くなったのは事実だろう。しかし先生はミラノに行ったはず。その後、アメリカに渡り、そこで事故に遭ったって事か?」・・・私

「あれがマグダラのマリアかどうかを調べようとして消されたんだ。ミラノで何かを掴み、更に調べる為にアメリカに渡った。そこで消されたんだ。俺達も変な事は言わない方が良い。身のためだ」・・・友人

最終的に、二人の意見は、「何も言わない方が良い」・・・そこに落ち着いたのだ。

その後、受験戦争に参戦というか巻き込まれ、以降ずっと忘れてしまっていた。

映画『ダビンチコード』で、その話は有名になり、私はこの古い記憶を呼び起こされたのだ。

今となっては命を狙われたりしないだろうが、半世紀前は人を殺すに値する程の情報だったのかもしれないと思い直してしまい心はスッキリとしないまま。

今更ではございますが、先生のご冥福を再度祈りたいと思います。

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