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一文作家になろう 5

登場人物の性格設定 1

  最近、私はあまり複雑なストーリーは書きませんが、以前はかなり凝った推理小説を書いていました。

 いや、自分で凝っていると思っていただけなのかもしれません。読者の目には、長ったらしいだけの、訳の判らないストーリーだと映ったかもしれません。

 今は、長ければ良いというものではないというのが小説の常識ですが、昔は長いだけで価値が上がった時代があったのです。まあ、馬鹿ですが・・・それはともかくとして、長編小説を書くのであれば、あらかじめ登場人物の性格を決定しておかないと、後々大変な事に成ります。

 特に主人公と、その周りを固める主要な人物は、性格を決定しておかなければなりません。

 主人公が内気で神経質な人物であるのなら、その性格は終始一貫していなければなりません。但し、酒に酔った時だけ勇ましくなる等の設定はOKで、その場合は序盤で堂々と公表する。もしくは、『また、やってしまった!・・・と、つぶやく礼次郎の足元には3人の男が倒れていて・・・』的な感じで、かなりプンプン匂わせておかなければなりません。最後の最後に主人公はこんな癖があったとか、この時だけは死に物狂いで挑んだ!などというのはどんでん返しではなく、読者を裏切る行為となり、支離滅裂な作品だと酷評されるでしょう。

 テーマに沿いながら書き進め、主人公の成長を描き、最後にこうなったというストーリーでないと、認めてはもらえません。

 更に殺人等の重犯罪を含めるのであれば、犯人の動機が明白でなければなりません。なんとなく人を殺したくなった。“晴れときどき殺人”的なものは、現実ではあり得ますが、小説では使わない方が良いでしょう。事実は小説より奇なりであり、現実を超える様なリアルな作品を書くのは、とても難しいのです。

 例えば、他人を裏切る人は実社会にもいますし、小説にも多く登場します。

 現実では、一部の人を裏切る場合が多いのですが、小説内では全ての人を裏切るという性格でないと受け入れられない事が多々あります。現実では通用するが、小説内では御法度というものが多くあるのです。

 例えば、謎が解明しないまま終わる小説はNGという点が一番わかりやすいと思います。

 現実では解明しないまま終わるのが普通です。例えば府中で発生した4億円事件とかクリゴ永森事件・SMAP細胞・・・あれ?ちょっと違うか?まあいいや。とにかく未解決事件や出来事は多数というよりも無数にあります。しかし、フィクション小説内では粗通用しません。落語で言う“考え落ち”の手法でさえ好まれないのです。

 10分、15分程度聞くだけの作業である落語では通用するが、一冊読むのに何時間、何十時間掛かる小説では通用しない。ショートショートか短編ならまだしも、中編・長編小説となると、読者が読後の爽快感を味わえないどころか、騙された!と思ってしまうのです。だから、小説では謎が解明されないまま終わるのは好まれないのだと思います。

 それらを踏まえて書けば、人物の精神的変化や成長なども描くことが出来、物語に重厚感を持たせる事が出来ると私は考えています。

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